「ゆきちゃん、行こう」

「はい!」



手を差し出されて、自然に手を重ねるとぎゅっと握られる。

空野さんはエスコートしてくれる王子様みたいでいつも以上にかっこよく見えて、胸がきゅんとなった。



文化祭クオリティにしてはリアルで怖いお化け屋敷に入ったり、ミニドラマの上映を見たり、焼きそばやチュロスなどおいしいものを食べたり。

空野さんと学校にいるのは不思議な感じだったけど、すごく楽しかった。


ここ最近はたくさん悩んでくるしんで、気持ちも落ち込み気味だったけど、空野さんといるだけで全て消えて幸せであふれる。



これからだって幸せなことばかりではない。
どちらかといえば、苦労のほうが多く、また悩んでくるしむと思う。


それでも、わたしは空野さんと一緒にいたいって強く願っている。



空野さんを傷つけたくない。
将来を壊したくない。


だけど、空野さんを手放したくない。



「初めての文化祭、ゆきちゃんと回れて幸せ」



胸がきゅんと音を立てる。

わたしも、もう空野さんがいないとだめみたいだ。