「初めてなんですよ……」
「おれはうれしい。けど、ゆきちゃんはいやだった?」
「いやじゃないですけど、もうパンクしそうです……」
「ゆきちゃんはそれくらいでいてよ。おれのこと以外考えなくていいから」
たしかにいまは空野さんのことしか考えられなかった。
場所とか、アイドルとか、そんなの考えている余裕はなかった。
目の前にいる空野さんしか見えていなかった。
「でも、それじゃ……」
だめだと思う。
アイドルと付き合うって、もっといろいろ慎重にならなきゃいけないんじゃないかな。
覚悟もしなきゃいけない。
もう、抑えられないから。
自分で決めたから。
「おれに任せてよ」
優しい笑顔で頭をポンポンとしてくれる。
空野さんなら、本当になんでもできてしまう気がする。
わたしは空野さんの言うようにしたほうがいいのかもしれない。
でも……。
「空野さんだけが背負わないでください。わたしも一緒に背負います」