「空野さん、離してください……」
「……いやだ」
「顔を、見せてください」
「……いやだ」
「空野さん……」
どうしたらいいのかわからなくて、考えるけど答えなんて出ない。
そのまま空野さんに抱き締められる。
「……ゆきちゃん、逃げるかもじゃん」
「逃げないです……いまは……」
「ほら、どうせすぐ逃げるじゃん。連絡も無視するし……」
それを言われたら言い返す言葉がない。
たしかにわたしは逃げていた。
「だ、だって……」
「いいもん。ゆきちゃんがおれから逃げようとするなら、ずっとこうやって捕まえとくもん」
もう、だめだよ。
胸がぎゅっとなって痛い。
心臓がドキドキとうるさい。
こんなの、空野さんだけだよ。
「わたしだって、離れたくなんかないですよ。……ずっと一緒にいたいです」
「え……?」
顔を後ろに向けると、空野さんと至近距離で目が合う。
ドキッとしてそのまま加速する鼓動。
でも、目を逸らしたくない。



