唇の横とはいえ、本当に触れてしまった。
黒瀬くんみたいなモテる人にそんなことをしてしまうなんて……。
「……大丈夫」
変わらない声。
黒瀬くんはあんまり気にしていないのかな。
モテるしこれくらいどうってことないのかも。
それならまだ気はラクだ。
なんて少し安堵し、顔を上げて黒瀬くんの表情を確認した。
「え……?」
「……着替える」
周りのざわついた物音や声に紛れるようにボソッと呟きすぐに顔を逸らしたけど、しっかり見てしまった。
黒瀬くんの顔、いままで見たこともないくらい赤かった。
やっぱり気にしちゃうよね。
事故とはいえ……やってしまった……。
服を着替えて、大道具などステージからおろして今日の出番は終わりでいまから自由時間。
「雪乃、赤坂がみんなで回ろうって誘ってきてるんだけど……」
「花音ちゃんごめん。ちょっと用事!」
「え、あ、うん!わかった!」



