超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。





後ろにいた人がふらついたのかなんなのか、わたしにはわからなかったけど背中がぶつかりその勢いで体が数センチ前に出る。



「っ……!?」



唇の横にやわらかい感触。
初めて感じる温かさとやわらかさに目を開けると、黒瀬くんとばっちり目が合った。

元々至近距離だったから、数センチも前に出たらぶつかってしまうわけで……。



え、これ……当たって……いや、唇ではないけど……。


突然のことで頭が真っ白になる。

でも、いま動くわけにもいかなくて、幕が閉まるのをじっと待った。



そして幕が完全に閉まってからすぐに離れる。




「ごめん、白川。ちょっとふらついた」

「あ、う、うん……大丈夫だよ」



後ろにいた祝福してくれたねずみ役の男の子。
気づいてはない……のかな?



「あの、黒瀬くん……その……ごめん、ね……」



気まずくて顔を見ることができない。

みんな見ていなかったのかもしれない。
そうだったらまだよかった。



不幸中の幸いだ。