黒瀬くんはまさに王子様な表情で踊っている間も目を合わせ、優しく微笑んでくれる。
わたしも同じように微笑み返す。
シンデレラはきっといま、楽しくて仕方がないよね。
幸せだよね。
ワルツも大きな失敗なく、踊りきることができた。
そして0時。
シンデレラにかけられた魔法が解けてしまう。
タイムリミットだ。
「きみはだれなんだ。せめて、名前だけでも!」
「ねずみにかぼちゃに、説明はできない。けど、今日は楽しい夜だったわ」
王子様の質問には答えず階段を駆け下りる。
「……さようなら」
もっと夢を見ていたかった。
シンデレラは王子様から離れたくないけど、行かなくてはいけない。
なんか、前よりシンデレラの気持ちがわかるな……。
胸の苦しさを感じながら逃げるように走り去る。
そして日常に戻る。
そこに王子様がガラスの靴を持ってやってきた。
姉さまには入らない。
シンデレラは希望を諦めきれず、自分の存在をアピールする。
そして、気づいてもらえてガラスの靴を履くともちろんぴったり。



