超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




あっという間に開演の時間になる。

アナウンスが流れてから、映画が始まるときのような独特な緊張感のある音と同時に幕が上がる。



わたしはシンデレラだ。



「シンデレラ、遅いわよ。まだ馬小屋掃除もあるんだから」

「ここ、まだ埃たまってるわよ。こんなこともできないだなんて、呆れちゃう」

「あらあなたたちは綺麗なドレスに着替えなきゃだめじゃない。シンデレラはほっといて早く着替えてらっしゃい」



いつも通り。
わたしのシンデレラを演じるだけだ。



「お義母さま、わたしも舞踏会に行ってはだめですか?」

「だめに決まっているでしょう。そんなこと考える暇があればさっさと掃除してちょうだい」



始まりはいい感じ。

緊張しすぎずに演じることができている。


それから話はどんどん進んでいく。


魔法使いによって綺麗に変身させてもらったシンデレラは舞踏会で王子様と出会う。



本当は手の届かない相手。


まるで空野さんみたいだ。


こんなふうに触れられて近くにいるのに、本当はすごく遠い存在。


でも、いまだけは夢を見させてもらえる。