舞踏会なんてまさに童話って感じで、女の子の憧れが詰まっている。
だけど、何回も黒瀬くんの足を踏んでしまって夢を壊してしまっているのはわたしで……。
「いつも足を踏んじゃって……ダンスとかそういうのも得意ではないので……」
「もっと踏んじゃえ!」
「え?」
「ごほんっ……ごめん、なんでもない。じゃあ今日は最後にそれを練習しよう」
「でももう遅いですよ?空野さん、明日もお仕事じゃ……」
「ゆきちゃんといると元気もらえるからさ」
残りのガトーショコラを箱に戻して、空野さんは体を伸ばし始める。
本当にする気なんだ……。
「どんなの?動画とかある?」
「はい、あります」
スマホを差し出す。
見本としてダンス部の人が踊ってくれた動画。
それを見終わったと思えば、もう一度動画が再生された。
『きゃっ、ごめん……また……』
『大丈夫。ゆっくりしよ』
「あ!そっちはだめです!!」
声が聞こえてきてわたしと黒瀬くんの練習風景の動画だとわかる。
本当にだめだめだから恥ずかしすぎる……。



