空野さんがアイドルと知って、MVは見たけどまだドラマや映画は見ることができていない。
いまは文化祭とかで学校のほうが忙しいから、きっとそれが終わってから。
きっと、来月スタートのドラマが初めてになる。
「ゆきちゃんにそう言ってもらえてうれしいな。撮影も気合い入るよ」
やわらかく笑う空野さんはいつもの空野さんだ。
さっきはお姉さまやお母さま、魔女や王子様だったのに、いまは空野さん。
あまりドラマとか見たことないけど、ここまで演じわけられる人はそんなにいないんじゃないかと思う。
「それでなんですけど……ちょっと待っててください」
「ん?うん」
わたしの言葉に不思議そうにしながらも頷いた。
カウンターの奥に行き冷蔵庫を開けて箱を取り出す。
「これ、どうぞ」
「え?」
「遅くなっちゃったんですけど、お誕生日と連続ドラマ主演のお祝いです」
「あ、開けていい?」
「はい!」
綺麗な指が箱を開けていく。
中身が見えた瞬間に空野さんの「わぁ」という声が聞こえた。
「すごい!!うれしい!!これ、もしかして……」
「全部わたしが作りました」
「すごすぎる!!」



