それから空野さんとたくさん話した。

ドラマ主演おめでとうと伝えて、海でのエピソードを謝って、ネットで見たプロフィールで誕生日が過ぎていたことを知ったから改めてお祝いする約束をする。

空野さんもお父さんが俳優でそれをきっかけに芸能界に入ったことや、仕事について無知なわたしにわかりやすく教えてくれた。


けど、どうしても別世界な話についていけず理解はしたけど現実味はなかった。


それからはいつものように他愛のない話をした。
空野さんと話すのはやっぱり楽しくて幸せな時間だった。



「やばい、日付け変わる。遅くまでごめん」

「わたしは全然。むしろすみません。お家は遠いですか?お父さんに頼んで送って……あ」


アイドルに家を聞くのはだめだよね。

思わず口にした言葉を途中で飲み込むけど、もうほとんど声にしたあと。



「そういうの気にしなくていいよ。ゆきちゃんには芸能人関係なくこれまで通り接してほしいから」



改めて言葉にしてくれて頷く。
空野さんの言葉が素直にうれしい。



「ここからけっこう近いよ。大通りにタクシー呼んだし大丈夫。一人暮らししてるからまたおいで」



嘘か本当か、わからないけどそんなのはどうでもいい。

空野さんの言葉がうれしいから。