次の日。先に目を覚ました朱鷺は背伸びをしていた。

「おはよう」

「おはよう飛翔お兄ちゃん」

「そこの寝坊助を起こしてくれるか?朝食が出来てる」

「分かった」

「くれぐれも気をつけてな」

朱鷺は首を傾げて何に気を付ければ良いのか考えた。

朝、寝起きとの事もあり、分からないまま猟豹を起こした。

「ん~…!」

「きゃっ!」

猟豹のパンチを避けるとベットから落ちた朱鷺。

「痛い…」

目には、ドンドン涙が溜まっていく。

「ふぇ…」

猟豹は朱鷺の泣き声で目を覚ました。

「「「…」」」

皆が朝食を食べる静かな時間。

「…と…朱鷺~…機嫌を直すっすよ~…」

「猟豹も…。」

「無理ね」

鼻水を啜《すす》っている朱鷺。

「後でチーンしようっす」

「子供扱いしないで…」

目が赤い朱鷺は涙が止まらずにいた。

「はぁ…朱鷺。どうして泣いて居たのよ」

「…猟豹お姉ちゃんのせい…」

「はぁ?あたしのせい?どういう事よ」

朱鷺は、そっぽを向き猟豹は苛立ちから箸を折った

「もういい!こんな子知らない!」

「おい猟豹!箸を折るな!」

「ご馳走様!あたし出かけてくるから!」

「あんの馬鹿…」

朱鷺も朱鷺で腹を立てていた

「だから気をつけろと言っただろう」

「何だ。飛翔が起こしに行ったんじゃないのか」

「朱鷺の部屋に居たんで朱鷺に任せたんです。どうやら間違いだったみたいですが」

「そうみたいだな」

「朱鷺…後で怪我が無いか確認させてね…」

「え…良いよ…」

「怪我放置絶対駄目っす!」

「う…うん…」

「こら…朱鷺が構えちゃうでしょ…大丈夫…痛く無いから…」

「うん…」

ここに来て子供扱いをされるようになった朱鷺。
ご飯を食べて狼火の元に向かうと救急箱を用意して朱鷺を待っていた。

「いらっしゃい…」

「お邪魔します…」

「くつろいで行って…」

狼火は小さく笑うと手を差し出した。

「さぁ…怪我を見せて…?」

大人しく怪我の確認をさせる朱鷺。

「うん…していないみたいだったね。猟豹はね?寝起きが悪いからパンチが良く飛んでくるの…李矩なんか避け切れなくて目の上を切っちゃったんだ…」

朱鷺が避け切れたのは奇跡に近いと説明された。

「今度は気を付けて…」

一緒に寝るのを断ろうと思った朱鷺だった。

「大丈夫…手加減は多分してくれるよ…」

多分の言葉で全てが不安になった朱鷺だった。