「…お願いします」
遠慮がちにあいさつをして
グラスを合わせた。
「こちらが愛莉さまのお部屋です」
メイドさんに案内されたのは
松田が用意してくれた部屋。
「わぁ…すごっ」
1人で使うには十分すぎる広さの部屋は
何もかもがそろっていた。
「何か欲しいものがあれば也須さまに
おねだりなさいませ。
きっと何でも買っていただけますよ」
「あの…聞いてもいいですか?」
「何でしょうか」
「松田さんって、結婚してるんですか?」
「也須さまは独身ですよ」
そうなんだ…。
「あ、あと…お仕事は?」
こんな家に住んでるんだもん…
きっと大変な仕事なんだろうな。
「…也須さまは、
不動産会社を経営されております」
「不動産会社…ですか?」



