「大丈夫です。
私がしっかりと面倒を見ますし、
不自由もさせません」
「はぁ…じゃあとりあえず1週間
お試し期間というかたちで預けるのは
いかがでしょうか?」
「分かりました、そうしましょう」
えぇぇぇぇぇ~~~…。
あたしの願いもむなしく
話はどんどん進んでいった。
中年おやじの名前は松田也須(マツダ ヤス)。
もう夜なのに今すぐ引き取りたいと
松田が言うもんだから
とりあえず必要な荷物だけを持って
引き取られることになったあたし。
見送ってくれてるみんなの視線を
感じながら中年おやじの車に乗り込む。
「愛莉ちゃん」
「…えっ、はい!?」
「夜ご飯は食べたかな?」
「いえ、まだですけど」
「じゃあ何か食べたいものは?
何でもご馳走するよ」
「別に…これといって…」
「そうか」
そう言うと松田は携帯を取り出し
どこかに電話をかけだした。
「もしもし、私だ。
食事の準備をしておいてくれないか」



