「これ…あなたのことばかりね?」



え?…。



「丈は…人を愛せるように
なってたんだな…」



「本当に…愛莉ちゃんだったかしら?」



「あっ…はい」



「あの子…すごい悪ガキだったのに…。
この日記からだと…あなたのおかげで
いい子に育ってたみたいね?」



「そんな…」



「わたし達には分かってたの。
丈には人を愛すること、
人から愛されることが大切だったって…
けど、あたしもパパも丈に
愛を伝えることができなかった…」



「愛…?」



「愛莉ちゃん。
君が、丈に愛を教えてくれたんだ…。
本当にありがとう」



そう言ってあたしの手を握るお父さん。



お母さんはハンカチを握り締めて
あたしに深々と礼をした。



そして荷物を持ち園を出て行った。



あたしはそれを黙って見つめた。



丈?



丈は幸せものだよ…。



丈は愛されてなかったって
言ってたけど…。