「雪ちゃん、少し休んだら?」
鏡越しに見つめる瞳さんに、
あたしも見つめ返す。
「ポーズもなってないし、表情もダメ。
今のままSevenにいても何も変わらない」
「…でも」
「こうちゃんがあんなことになって
つらい気持ちは分かるけど、そのせいで
仕事に影響出るなら休んでもらった方が
助かるの」
メイクを落とし終え道具を片付ける
瞳さんは、少し怒ったような口調で
そう言う。
「雪ちゃんはすごいモデルだと思う。
でも、今の雪ちゃんには何の力も無い」
あたしはその言葉にうつむくけど、
「正直言って、邪魔なの」
瞳さんの言葉で顔をあげる。
鏡越しに見える瞳さんはイライラしている。
「確かに…あたしだってショックだよ?
あたしだけじゃない…こうちゃんが
かかわってきた人はみんなショックなの。
みんなつらいの。雪ちゃんだけじゃない、
みんな一緒なの。
なのにみんな頑張って仕事してるんだよ?
みんなプロだから」
「…プロ?」
「香奈さんだって…撮影前はあんなに
ぼーっとしてたのに、カメラの前に
立ったら別人みたいになってたでしょ?
プロなの、責任持ってるの仕事に。
雪ちゃんは違うの?」
責任…。



