先生のその言葉に固まるあたし。



「え?…あの…脳死…って…」



「調べた結果、山村さんは先月事故で
頭を強くうっていました。
それが原因で脳が停止したんです」



「でも…心臓は動いてるから…」



あたしは光輝のそばにあった機械を
見つめる。



「確かに…心臓は動いています。
ですが、これをはずしてしまうと心臓は
止まります」



先生は光輝の口につけられている
器具に触れた。



「脳死は、自ら呼吸が出来ません。
今は人工的に呼吸をすることで
心臓の動きが保たれているだけです」



「結論…は…死んだって…ことですか?」



のみこめない状況の中、必死に口を
動かした。



「…ほぼ…そういうことになります」



…ほぼ?



「ほぼってことは…助かるかも
しれないんですか?」



「いえ…助かる確率はありません。
ですが…死んだと確定も出来ません」



どういう…こと?



先生の言ってることが分からない。



「脳死の判定が出ても、髪や爪はのび、
体温も維持されます。
つまり、生きている時となんら
変わりは無いんです」