「荷物?」
「はい。どうしても必要なものが
あるんです」
光輝のニット帽に答えるには家にある
十字架のピアスをつけないと…。
あたしが気付いてることを
今の状況で光輝に伝えることなんて
出来ない。
「荷物取りに行くだけなんで。
もちろんガードと一緒でいいです。
なんなら光輝がいない時に取りに
行ってもいいんで…」
「…ダメだ」
テレビから視線をうつした宮さん。
「この2ヶ月荷物を取りに行かなくても
生活出来ただろう?
今さら必要なものなんて生きていく為には
いらないものだろ」
「でも…」
「欲しいものがあるなら買ってあげる
から諦めなさい」
強い口調で言われ、あたしは反論
出来なかった。
毎日ニット帽を被ってくる光輝。
部屋の中でもズボンのポッケに入れて
肌身離さず持っている。
あたしへのサインなのに…
あたしは答えられない。
でも…一つ引っかかる。
なんで光輝はガードがあたしを
光輝から守ってることを知ってるの?



