「いえ。ありがとうございました。
雪、立てるか?これ着ろ」
そう言ってあたしに
上着を渡してくれた。
「う、うん。…ありがとう」
あれ?…なんだろう…。
足ががくがくする…。
やっぱり…あたし…
恐かったのかな…。
「雪ちゃん。松田がとった
君の写真が見つかった」
「えっ…」
あたしはお兄さんの言葉で顔をあげた。
「大丈夫。
今、部下達が全て処分している。
香奈から家具類も全て処分するように
言われてるから安心して」
「あっ…はい。ありがとうござ…」
「雪?」
涙が…。
「雪…もう大丈夫だから」
そう言いながらあたしを
抱きしめてくれた光輝。
あたしはそれまでたまってたのが
全部込みあげてきたみたいに
ひたすら泣いた。
暗い通りにはあたしの泣き叫ぶ声だけが
響いてた。
あれからいつのまにかあたしは
寝てしまってたらしい。



