「両親が29歳と分かれば周りから
どんな目で見られるかは愛莉ちゃんにも
分かるな?」
「あ…」
「両親が若いといろいろ
子供も苦労するだろう。
そういう子は自分を守るために
心を閉ざしてしまう。
丈くんもきっとそうなんだろうね」
そんな…かわいそう。
あたし…ひどいことしたかな。
それから丈はあたしの通う中学に
転校してきた。
丈はいつもけんかをして学校でも有名な
不良になってしまった。
廊下を通ればみんなが道を開け、
睨まれたら男子でも泣きそうなぐらい。
先生でさえ何も言えない。
以前先生が注意をした時、その場で
机を放り投げて腕を大怪我したからだ。
それ以来みんなは丈に逆らえない。
施設でもそうだ。
みんな丈に怯えてる。
前まであんなに楽しかった施設も
今は全然楽しくない。
毎日のようにガラスは割れるし
たばこをすったりお酒を飲んだりして
警察が来るし。



