自分の後の自己紹介は簡単に聞き流して、その時間を終えた。

「ねえ、飯岡さん」

突然、髪の毛を一つにまとめた女子に声をかけられた。背は私よりも低い。その子のくせっ毛の髪は、幼稚園時代の私を彷彿とさせた。

「なに?」

自分でも素っ気ないと感じるような返事をすると、その子は少し狼狽えたような様子を見せたあと、話し出した。

「いや、あの」

こういうタイプははっきり言って嫌いだ。言いたいことがあるならはっきり言って欲しい。回りくどくて面倒臭い。
そう思いながらも、話の続きを待つ。

「面白い人だなって、思って...それで、その」

目を伏せ気味にしながら、先細る声で話を紡ごうとするその子。
なんだか草食動物みたいだな。

「話して、みたくて」