結局今日は残業込みで、気づけば23時半になっていた。
残業代出るからまだいっか、と荷物をまとめお疲れ様ですと声をかけて屋上へ向かう。
ズキンっと刺すような痛みが頭にくる。

「もうとっくに薬切れてたんだよな。」

とエレベーターで口にする。
帰ったらタッパー洗って、お風呂入って、歯を磨いて、何も無い天井を見ながら、いつの間にか寝るんだろうなと終業後にいつも思いながら帰る。
あ、明日朝1のシフトだから6時には起きないと。そう思っているとエレベーターのドアが開いた。
フラフラの足取りで車へと向かう。鍵を開け、ドアに手をかけた。

何を考えたのか、顔を上げるとそこには光が溢れていた。マンションや街頭、まだ遊び回ってる若い子たちと飲み屋帰りのおじさん達のスマホの光。
こんなに綺麗なのに、なんでこんな暗いところに居るんだろう。そう思った私は既に

靴を脱いで屋上の縁に立っていた。

こんな綺麗な光に、飛び込めたら楽なんだろな。
もういいや、こんな人生。精々27歳まで生きたかったけど、もう充分頑張ったよな。
そう思って屋上からー


「君、何してるの?」


突然の声にビックリして後ろを振り返るとそこには


ー黒い羽根の君がいた。