涙をこぼし続ける光の頭に、ポンと優しく手が置かれる。光が横を見れば、同じように瞳を潤ませた尚が優しく光の頭を撫でてくれていた。

「ありがとう……」

小さく光は呟く。すぐにその目はステージへと戻ってしまったため、尚の耳たぶや頬が赤く染まっていることなど光は気付けなかった。



盛り上がったライブが終わり、光と尚はライブの感想を言いながら土手道を歩いていく。

夏の星が夜空に煌めいて美しい。まるでステージを輝かせていたスポットライトのようだと光は思った。

「ねえ、ちょっと座って話さない?まだ帰りたくないんだ」

尚がそう言い、土手に座る。明日も光の仕事は休みだ。わかった、と答えて光は尚の隣に腰掛ける。風が頬を撫でていった。

「新曲、すごくよかったね」

尚がそう言い、夜空を見上げる。光もコクリと頷いた。あの時の歌を思い出すだけで泣き出しそうになってしまう。

新曲として歌ってくれたのは、愛されない女の子が生きてほしいと出会った人に言われるというものだった。光の頭に過去が浮かぶ。