「僕は、ずっと光が好きなんだ」

ダメかな、と見つめられて光はどうしたらいいんだろうと迷う。こんな自分といて幸せなのだろうか、こんな自分が幸せになっていいのだろうか、と。

しかし、ずっと前からあるこの胸の高鳴りは誤魔化すことができない。過去と決別するためには、幸せを掴み取るしかないのだ。

「私も、尚くんが好きです。こんな私でよければ、お嫁さんにしてください」

そう言う光の目から、また涙がこぼれる。幸せの涙だ。尚が微笑み、光に顔を近づける。

想いを確かめ合った星空の下、二人の唇が重なった。



それから二人はすぐに尚の両親に挨拶をし、入籍。尚の両親に見守られながらささやかな結婚式を挙げ、新婚旅行へはドイツへ行った。

そして光のお腹に新しい命が宿り、今、その命が産声を上げる。

「おめでとうございます!元気な女の子です!」

助産師に笑顔で言われ、光と尚は笑顔で我が子を抱き締めた。生まれたばかりの子どもはとても小さい。

「光、この子を産んでくれてありがとう。一緒に頑張っていこうね!」

尚に微笑まれ、光も頷く。そして「この子に一緒に言いたいことがあるの」と言った。尚は「わかってる」と頷く。

「生まれてきてくれて、ありがとう」

二人は同時に生まれた子どもに言い、笑った。