待ち合わせはいつも仕事が終わって20時を回って、
行きつけのバーだった。




お互いに疲れているはずなのに、
週3で会っていると思う。
嬉しそうに身支度を済ます私を見て、
同僚の女の子たちは羨ましそうな声を洩らす。

───それもそうだ。
私は提携する会社の、誰もが羨むくらいのイケメンと付き合っているのだから。


「紗倉(サクラ)さんはどうして高嶺(タカネ)さんと付き合おうと思ったんですか?」

「んー…友人の、紹介…だったかな」

「高嶺さんのお友達とか絶対イケメンですよね!うわあ、私も分けて欲しいです(笑)」


そのうちね、といって私は急いで社内をあとにする。
今日は風(カオル)とデートの日だから。
会社から、行きつけのバーである【sunrise】に向かう途中…少し寄り道をしてみた。

…今日くらいこの道を通ってみるか

普段は通らないような細い路地で、
風からは「あんま遠んなよ。危ないから」と言われた場所だった。
まあ今は人通りもあるし、大丈夫だろう。
安易な考えてスルリと路地へと入る。