ダミアンが杏菜をジッと見つめる。杏菜は「えっ!?キス、ですか?」と顔を赤くした。いつもキスはダミアンからだ。恥ずかしくなってしまう。

「……してくれないの?」

また子犬のような目で見つめられ、「わかりました」と杏菜はドキドキしながらダミアンの頬を両手で包む。そして優しくダミアンにキスをした。しかし、恥ずかしいためすぐに唇を離してしまう。

「顔真っ赤。可愛い」

ダミアンにそう言われ、杏菜は俯く。すると「ご褒美をあげるね」と言われ、顎を持ち上げられる。そしてまたキスをされた。

「んんっ……」

「んっ……。愛してるよ、杏菜」

そう言ったダミアンの顔は、微笑んでいたが目の奥に不安が隠されている。杏菜も不安になり、首に揺れているネックレスに触れた。



それから数日後、杏菜は部屋で読書をしていた。ダミアンは仕事の都合で部屋を出ており、いつも話し相手として来てくれるオリビアも今日は忙しいようだ。

「いいお話だったな〜……。まだこんな時間なんだね」