夜、ベッドで寝ていると、虫に刺されるような感覚を感じた。上半身をあげて目を開けると、

「…お兄ちゃん?」

…いやお兄ちゃんじゃない…?笑った口元によく見ると牙が見える…白い歯についた赤いものも見える…

はっとして、虫に刺されたと思われる首筋を触ると、濡れた感触がした…鉄の匂いがする…手元を見ると赤く濡れていた…血だった…

それに気づいたお兄ちゃんに似た人が、わたしの手を強引に掴み、口にくわえた…

満足そうに牙を見せて口角を上げると…
「もっと寄越せ…こんな絶品なものを口にしたのは初めてだ…!」
いつも聞いていて聞き馴染みのある優しいはずのお兄ちゃんの声だった

というと、わたしを押し倒して、わたしの服のボタンを引きちぎった…

「…や…やめて…おにいちゃん…ん゛ん゛」

「好きだ…愛している…」と
胸に歯を突き立てられる感覚がすると、皮膚を引っ張られる感覚がした…吸われている…

「…おにいちゃ…ん…お兄ちゃんなんだよね?…」
とつい目が潤んで、声が震えてしまう。

すると、おにいちゃんが、ばっと私から距離を置いた…
わたしの姿を見ると顔を歪めて、お兄ちゃんも泣き出してしまった…

「うぅ…ごめん…ごめんな…ずっと我慢してきたのに…抑えが効かなくて…」

と言って視線を逸せながらおにいちゃんの上着をわたしにかけてくれた…

「ありがとう…大丈夫だよ。お兄ちゃんが元に戻ってよかった…」
とがんばって笑顔を作る。

おにいちゃんは
「ごめん…ごめんな…」
といってわたしの震えが止まるまで抱きしめてくれた。

でも、それでもわたしはおにいちゃんのことを嫌いになれそうにない…
だって…兄弟だけどずっとわたしはお兄ちゃんのことが大好きで、お兄ちゃんもきっとわたしのことが好きなんだろうなって確かめるように、いろんな行動をしてきたけど…おにいちゃんは苦しそうな顔をして我慢しているみたいだったから。
お兄ちゃんの気持ちが確かめられてよかった…

わたしもだいすきだよ… おにいちゃん…ずっとわたしだけをみていてね…