でも、同時にまた先ほどの疑問がよみがえる。

「じゃあ、なんであんなこと言ったのよ……」

 あの発言のせいで、ミレイナは死の恐怖に怯え、更には大好きなラングール人参を目の前にしながらお預け状態で耐えたのだ。ひどいじゃないか!

 理由を考えてみたけど、さっぱり思い付かない。

(あの人って、やっぱり掴みきれない人だわ)

 部下に対して威圧的な物腰や冷淡な態度を見せたと思えば、ララに対して見せた優しい眼差しもする。それに、ミレイナのこともこうして助けてくれた。

 どんな人物かは分かりかねるが、アリスタ国でよく耳にした『残虐な悪魔』というのは違っている気がした。