竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~

 このままここに居ては危険だ。耳が人並み外れてよいミレイナがこんなに軍が近くまで迫っているのに気が付かないことなんて、今まで一度もなかったのに。人参掘りに夢中になりすぎた。

 ミレイナは咄嗟に変化を取る。

 ピョンと長い耳が現れ、ポンと尻尾が生える。そして体は縮み、その姿は小さなウサギへと変わった。
 獣人が忌み嫌われるこの世界でこの姿になることは普段ならまずないけれど、今は緊急事態だ。体が小さければ流れ矢に当たる可能性も低くなるはずだ。

 小さくなったミレイナは収穫物が入った籠をあきらめて、生い茂る草木の合間を駆けだした。ここからだと自宅方向に戻るより、ラングール国側の森に逃げ込む方が近い。

「痛いっ!」

 駆け出してすぐに足の辺りに鋭い痛みを感じて体が倒れる。