竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~

 空を見上げると、体長三メートルはありそうな大きな生き物が何匹も飛んでいるのが見えた。広げた翼はかつていた世界で見た飛行機のように大きく広がっている。

(竜人だ!)

 竜人とは、その名の通り竜化することができる人間のことだ。人間とは違い多くの魔力を持ち、いくつかの不思議な魔法を使えると言われており、隣国のラングール国を治めている。

 ミレイナはその中に一匹だけ銀色に輝く美しい竜がいるのに気付いた。
 周りの竜より一回り大きく、その姿はこんな状況であることも忘れて見惚れてしまいそうなほど雄々しい。

 それに向かって、一斉に矢が放たれる。
 銀竜が一瞬光り輝き、次の瞬間に強い突風が吹き荒れる。吹き飛ばされた矢がミレイナの周囲に雨のように降り注いだ。

(どうしよう、どうしよう)

 ミレイナは半ばパニックに陥っていた。