「獣人であることは知っていた。……実は以前、お前の頭から耳が生えているのを見た」
「えっ!」

 ミレイナは驚いて顔を上げると、ジェラールをまじまじと見つめる。細心の注意を払っていたつもりだったのだが、いつ見られたのだろうか。

「いつ?」
「クレッグを助けたときだ」

 ジェラールはそう言うと、ミレイナの頭の辺りを眺める。

「あの姿にもなれるのか?」
「はい。あの姿は半獣です。半獣になると、魔獣達の言葉が理解できるので魔獣係をしている間ケープで全身を隠してあの姿をとっていました」

 竜の言葉は理解できませんでしたが、とミレイナは付け加える。

「見せてくれないか?」

 そう言われ、ミレイナは戸惑った。けれど、今更隠す必要もないかと思い直し、半獣へと姿を変えた。