それを知ったのは全くの偶然だった。

[おはよう、どこに行くの?]
[町に用事があるの。買い物もしたいし]

 家の前の木の幹で羽を休める渡り鳥達に話しかけられたミレイナは、笑顔でそう答える。

 その日、ミレイナはその足でマノンの働くお店にキャロットケーキを買いに行き、その後これまで採集した魔法石を領事館に売りにいった。
 魔法石はアリスタ国では希少な魔力供給燃料なので、販売は領事館で管轄しているのだ。
 ただ、いつもなら領事館の別館なのだが、その日はたまたま床の張り替え工事をしているということでいつもと場所が違い、本館だった。

「はい、どうぞ」

 魔法石の重量と放出する魔力量が測定した役人は、淡々とした様子で銀貨四枚を差し出した。

「銀貨四枚? 以前なら、この量だったら五枚だったわ」
「需要と供給の関係で買い取り価格は変わるんだよ。嫌なら売るのを辞めるかい?」
「いえ、ならこれでいいです……」