目の前の女達に、底知れない怒りが湧いた。

「そうか」

 ジェラールはケープを脱ぎ、隠れた顔を露わにする。目の前の男の思っても見なかったような完璧な美貌に、レイラ達の頬はほんのりと赤く染まった。

「確かに相応しくない者は排除する必要があるな。お前達を全員、解雇する。以後、俺の目の前に現れることも、王宮に立ち入ることも禁止だ」

 突然の物言いに、レイラ達はポカンとしてジェラールを見上げた。そして、今度は怒りから顔を赤く染めた。

「無礼者! 一体なんのつもりで、わたくし達にそのようなことを! わたくしを誰だと思っているの?」

 ジェラールは静かにレイラを見返した。
 たしか、地方領主の娘だ。父親は身分はあるものの大して目立たない、これといった成果も上げていない男だったと記憶している。

「なんのつもりで? お前達こそ、俺を誰だと思っている」