「そうですわね。ミレイナがいないのが寂しいのか、時々柵の外を眺めては誰かを待つような仕草をします」
「そうか」

 ジェラールは頷くと、魔獣達に手を伸ばす。その柔らかな毛並みに触れると、沈んでいた気持ちが解れていくのを感じた。

 ──魔獣や動物達と触れあうと、心が和みます。もふもふ効果です!

 いつだがミレイナが笑顔でそう言っていたことを思い出す。

(たしかに、癒やされるな)

 ジェラールはほんの僅かに口元を綻ばせる。けれど、一度沈みきってしまった陰鬱な気分を完全に浮上させるほどの効果はない。

(ミレイナは、元気にしているだろうか)

 またウサギの姿で矢で射られたりしていなければいいのだが。
 ミレイナに渡したペンダントには、ジェラールが魔法で加護を与えた。それにより守られているとは思っても、心配でたまらない。