「いい匂い。美味しそう」
「お昼に食べようと思ったの。マノンも食べる?」
「いいの? うん、食べる! これ、お土産」

 マノンは嬉しそうに笑うと、ミレイナに紙袋を差し出す。中には、パンや焼き菓子などが入っていた。

「わあ! お店のね? ありがとう!」

 ミレイナはそれを見て歓声を上げる。マノンはとっても美味しいパン屋さんで働いており、そのパン屋さんでは焼き菓子やケーキも売っているのだ。

「戻ってきて、問題なく過ごせてる?」
「うん、大丈夫。今日は国境沿いに魔法石の採集に行ってきたわ」
「国境沿いに行くのはいいけれど、気をつけてね。前回はいい人に助けられたみたいだからよかったけれど、また前みたいに怪我したら大変よ?」

 ミレイナが配膳したスープをスプーンで掬ったマノンは、心配そうにミレイナを覗き込む。