ジェラールはしばらく絶句して、呆然とミレイナを見下ろしていた。
 青空のようなスカイブルーの瞳は、ひどく傷ついたように揺れている。

「…………。お前が本気で帰りたいというならば、俺にそれを止めることはできない」

 それはミレイナに言っているというよりも、自分自身に言い聞かせているかのように聞こえた。

(なんでそんな顔をするの?)

 ミレイナは胸の前で、ぎゅっと手を握る。

 自分はなにか重大な間違いを犯したのではないだろうか。
 そんな気がしたけれど、引き返す勇気がなかった。