それに、なによりも──。

 ミレイナはメイド服の下にしまったカメオのペンダントを服越しに触れる。ジェラールとの交流は全て、ミレイナの中ですてきな思い出になっている。そのひとつひとつを、大切な宝石のように心の中にしまっていた。

(ジェラール陛下……)

 脳裏にあの凜々しく整った姿が、そして、最近ミレイナに見せる優しい眼差しが浮かび、ミレイナはぶんぶんと首を振る。

「さっ、お茶を出しにいかないと!」

 ミレイナは気を取り直すと目的の部屋に向かい、笑顔でお茶を配膳した。