確かに、ジェラールは竜王なのだからそれなりの家格のご令嬢を妻に迎えるのだろう。
そんなことはわかりきったことなのに、思った以上にショックを受ける自分がいる。
胸にズキリと痛みが走り、ミレイナは胸を押さえる。すると、メイド服の下にしまったカメオのペンダントトップの硬い感触に触れた。
これを付けてくれたときの、ジェラールの優しい眼差しが脳裏に甦る。
(私、きっとジェラール陛下のことが好きなのだわ)
出会いは最悪だった。
死にかけたところで気が付いたら隣国に連れ去れており、『太らせて食べる』と言われたのだから。
けれど、色々な部分を知るにつれて彼が本当は優しい人で、竜王としての威厳を保つために時々見栄を張ったりする可愛い部分もある人だということを知っている。
そして、誰よりも国を思っており凜々しい人であることも──。
ミレイナはもう一度、舞踏会の会場へと目を向ける。ジェラールはミレイナの知らないご令嬢の手を取り、ダンスホールの中央へと向かうところだった。
ご令嬢は、嬉しそうにはにかんだ笑顔を浮かべて頬を赤らめている。
そんなことはわかりきったことなのに、思った以上にショックを受ける自分がいる。
胸にズキリと痛みが走り、ミレイナは胸を押さえる。すると、メイド服の下にしまったカメオのペンダントトップの硬い感触に触れた。
これを付けてくれたときの、ジェラールの優しい眼差しが脳裏に甦る。
(私、きっとジェラール陛下のことが好きなのだわ)
出会いは最悪だった。
死にかけたところで気が付いたら隣国に連れ去れており、『太らせて食べる』と言われたのだから。
けれど、色々な部分を知るにつれて彼が本当は優しい人で、竜王としての威厳を保つために時々見栄を張ったりする可愛い部分もある人だということを知っている。
そして、誰よりも国を思っており凜々しい人であることも──。
ミレイナはもう一度、舞踏会の会場へと目を向ける。ジェラールはミレイナの知らないご令嬢の手を取り、ダンスホールの中央へと向かうところだった。
ご令嬢は、嬉しそうにはにかんだ笑顔を浮かべて頬を赤らめている。