「あれ、レイラ様かしら。あの方、私はあまり好きじゃないけど、やっぱりお綺麗よね。今回の最有力はレイラ様かなぁ。ジェラール陛下の侍女役をずっとされているし」
「最有力って?」
「レイラ様ってジェラール陛下付きの侍女でしょ? ジェラール陛下付きになれる貴族令嬢は皇帝陛下の花嫁候補なんだよ」
「そうなの?」

 初めて知る事実に、ミレイナは呆然としてリンダを見返す。

「え? ミレイナ、知らなかったの? 今回の舞踏会はジェラール陛下の花嫁選びを兼ねているんだよ。でもね、ジェラール陛下以外にもたくさん、有力貴族のご子息が参加しているでしょ? だから、すごくたくさんロマンスが生まれるんだよ! 誰と誰が恋に落ちるのか、想像するだけで楽しみだねー」

 恋愛話が大好きなリンダがはしゃいだような声を上げるのが、まるで別の世界の言葉のように聞こえた。

(花嫁候補?)