ミレイナはジェラールの姿を見つけて、笑みを零す。
 けれど、その笑顔はすぐに消えた。

 ジェラールの周りには、多くの女性が集まって笑顔を見せていた。ジェラールの表情はここからではよく見えないが、その女性達の話相手をしているように見える。

 その中には、時々ジェラールの執務室で見かけるメイド──レイラの姿もあった。
 今日はメイド服ではなく豪華なドレスを着ており、愛らしい笑みをジェラールに向けている。

(みんな、綺麗だな……)

 ミレイナは自分の姿を見下ろした。

 魔獣係として一日作業していたせいで、赤茶色のケープと黒いワンピースはところどころが泥で汚れている。さらに、木に登るときに付いたのか、至る所に木くずのような細かい汚れが散らばっていた。

 あの華やかな美女達とのあまりの違いに、急激に恥ずかしくなる。