「実はね、あなたが魔獣の世話に便乗して、陛下やクレッグ様、それに陛下の側近の方々に取り入っていると苦情が出ているの。それに、以前には無関係の下男に魔獣係の手伝いをさせていたとか」
「そんな……。私、そんなことしていません」

 ミレイナは聞き間違いかと思い、呆然とメイド長を見返す。

 確かに、ジェラールやクレッグが最近魔獣舎にくることが格段に増え、それに従いジェラールの側近も訪れることがあった。
 会話は楽しんでいたけれど、取り入っているだなんて全くの誤解だ。

 それに、下男と聞いてミレイナはすぐにそれがケープを被ったジェラールのことだと悟った。けれど、それを打ち明けることはできないし、打ち明けたところで信じては貰えないだろう

「私もそう思うわ。けれど、相手が悪いのよ」

 メイド長は小さく首を振ると、ミレイナから目を逸らせた。その態度から、誰かしらの地位か権力のある人が裏で動いていると感じた。

「あなたの働きぶりは私も高く評価しているの。わかってちょうだい」

 メイド長に諭すように語りかけられ、ミレイナは途方に暮れた。