(そういう私も、大して変わらないか……)

 ミレイナは眺めていたカメオを見つめ、苦笑する。
 そして、それを首の後ろで留めると、メイド服の下に大切にしまった。

(それにしても、今日は賑やかだなぁ)

 ミレイナは魔獣舎から外を眺める。今日は、王宮の中はいつになく賑わっていた。ミレイナがいる魔獣舎からも、庭園の向こうで華やかに着飾った複数の女性達が歓談しているのが見える。

「ジェラール陛下と踊れるかしら?」
「ああ、楽しみだわ。少しでもお話しできればいいけれど」

 耳を澄ますと、彼女達の会話が微かに聞こえてきた。
 今日、王宮では大規模な舞踏会が開催されるという。リンダによると、国内の独身貴族令嬢のほとんどが招待されているらしい。

(舞踏会って、どんな感じなのかなぁ……)

 ミレイナが想像する舞踏会は、華やかな衣装で着飾った男女が手を取り合ってダンスを踊り、恋が生まれる場所だ。