(耳が赤くなってるの、気付かれないといいな)

 首周りに少しの重量を感じると共に、ジェラールが離れるのを感じた。
 ソファーを回って元の位置まで戻ったジェラールが正面からまじまじとミレイナを見つめる。

「ああ。思った通り似合っているな」

 心底嬉しそうに相好を崩したジェラールを見て、ミレイナはまた頬を染める。

 これは、クレッグを助けたことに対するただの褒美の品だ。
 ジェラールは与えた褒美の品が間違いなかったことに満足して喜んでいるだけ。

 なのに、なんだか自分がジェラールの特別な人になったような錯覚を覚えて、胸が高鳴るのを止めることができなかった。

「決して手放すな。お前がこの先、何かの危機に見舞われたとき、守ってくれるだろう」

 ジェラールはそう言うと、もう一度満足げにミレイナ見つめて目元を和らげた。