竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~

 初めてミレイナに森の中で出会ったとき、ジェラールはララを探していた。

 ララを追っていたはずのゴーランが真っ直ぐにミレイナの元にいったこと。
 殆ど触れていないはずのミレイナから、ジェラールの強い気配を感じるとラルフが言ったこと。
 ジェラールの好物が乾燥させたナツメヤシであることを知っていたこと。
 ララは無事だと自信満々に言い切り、ジェラールを励ましてきたこと。

 それらの全ての事実がミレイナがララだということを示唆している。さらに、ミレイナは気付いていないが、彼女は決定的なミスを二つ犯した。

 一つは、クレッグを探しに行くときに半獣の姿のままでいたこと。
 フードを被っていたのでジェラールが気付かないだろうと油断していたのだろうが、バランスを崩して助けようと手を伸ばしたとき、一瞬だけミレイナの側頭部にウサギのような耳があるのを確かに見た。
 すぐに耳を消していたが、あの姿はジェラールの脳裏にしっかりと焼き付いた。

 そしてもう一つは、今日の昼だ。
 魔獣舎を訪れたジェラールが「ララは肉を食べるか?」と聞くと、ミレイナは戸惑うことなく「ウサギだから食べない」と言った。
 しかし、ジェラールは一度たりともいなくなったウサギの名前が『ララ』であるとミレイナに伝えたことはない。