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 そうして辿り着いた魔獣の森で、ミレイナは動物達のあとをついて行く。
 三匹のフェンリルは時々立ち止まっては鼻をひくひくとさせ、ああでもないこうでもないと言いながら匂いを辿っていた。

[この辺りの匂いが強いような気がするわ]
[うん、そうだね。でも、ここで匂いが消えてるよ]

 一時間ほどして三匹が立ち止まった場所は、魔獣の森をだいぶ奥深くまで進んだ場所だった。
 ミレイナは周囲を見渡す。周囲には鬱蒼と木々が生え、日の光はあまり当たらない。耳を澄ますと木々の葉が風に揺れる音、鳥たちの囀り、それに混じるのは風を切るような羽ばたく音……。

「この音は……」

 ミレイナは頭上を見上げる。木々の葉の隙間から見える青空を、大きな竜が飛んでいるのが見えた。