(この人もいつか、誰かを乗せたりするのかしら?)

 そんなことを考えたら、なぜか胸がチクリと痛んだ。

「陛下」
「なんだ?」
「またいつでも、私の働きぶりを確認にきてくださいね」

 予想外のお誘いだったのか、ジェラールは驚いたように目を見開いた。けれど、すぐにふっと表情を和らげる。

「そうだな」

 すっかりと暗くなった空にはいつの間にか星が瞬き、月光が優しく二人を照らしていた。