「陛下への、城下のお土産です」
「土産?」

 ジェラールにその紙袋をずいっと押しつけると、ミレイナはにこりと微笑んだ。

「陛下はナツメヤシがお好きでしょう?」
「なんだと?」

 ジェラールが眉を寄せて怪訝な顔をしたが、ミレイナはそれに気付くことなくフェンリル達が遊ぶ様子を眺める。

「そういえば、竜が飛んでいるのを見ました。とても大きな竜です」
「……俺は見ていないからなんとも言えないが、竜化した竜人か、本物のドラゴンのどちらかだろうな。いずれにせよ、この国では珍しい光景ではない」
「はい。友人もそう申しておりました」

 ふと脳裏にいつか見た白銀の美しい竜が脳裏に甦る。ちらりとジェラールを窺い見ると、美しい水色の瞳と目が合った。