「では、中へどうぞ。ここなら眺めるだけでは私の仕事ぶりはわからないでしょう?」

 ミレイナが誘うと、ジェラールは瞳を瞬かせ、「うむ、それもそうだな……」とブツブツ呟いている。
 本当に素直じゃない。

 ミレイナが獣舎の扉を開けて中に入ると、中にいる動物たちが一斉に寄ってきた。
 今は人型なので言葉は通じないが、[どこにいってきたの?][なにをしてきたの?]と言っているに違いない。

「餌をあげるなら、このお皿に入れてあげてください。あ、ラトのものはこっちで」

 ミレイナが新しい皿を差し出すと、ジェラールは素直に持っていた餌類をその皿の中に入れる。ご丁寧にラトのための木の実まであった。こんなに準備万端で、たまたま通り掛かっただなんて、やっぱりあり得ない。

「動物には、癒やされますよね。柔らかな毛並みに触れていると、心が和みます。もふもふ効果です!」