ジェラールは一瞬視線を漂わせると、すっくと立ち上がる。

「たまたま通りかかった。お前達の働きぶりを確認しにきただけだ」

 たまたま通りかかるのに、都合よく餌を持っていて、しかもこの格好はないだろうに。

 ミレイナは、ジェラールという人のことがだいぶわかってきた。
 恐らく、本当は大のもふもふ好きだ。でも、もふもふと戯れにきたというのが恥ずかしく、竜王としての威厳を保つためにそう言っているのだろう。

 相変わらずの態度に、思わず口元がにやけそうになる。