「つまり、この子達が陛下に懐くのは、陛下がお優しいと知っているからですわ」
「俺が優しい?」

 その言葉は予想外だったようで、ジェラールは瞠目した。

「はい。魔獣達は、意外とそういうところに敏感なのですよ」

 ミレイナはジェラールに、にこりと笑いかける。
 ジェラールは返事することなく顔をふいっと逸らしてしまった。

(あ。もしかして、照れているのかしら?)

 青みがかった銀色の髪の合間からは覗く耳がほんのり赤くなっているのを見て、ミレイナは胸の内にこそばゆさを感じて表情を緩めたのだった。