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ラングール王国の王宮は広大な敷地を誇っているが、その正面には城下町、背後には魔獣の森が広がっている。ミレイナはこの日も、いつもの散歩同様に王宮の裏手に広がる森へと向かった。
裏口から王宮を出るとすぐに、魔獣の森の入口がある。
ミレイナがララの姿で逃げ出したのも、この裏口からだった。
何重にも立ち並ぶ木々と、その合間に生える低木。
足下には落ち葉と土の地面が広がり、木々の合間からは木漏れ日が差し込んでいる。森といっても鬱蒼と茂っているわけではなく人が歩く程度の空間は広がっているので、林といったほうが前世が日本人だったミレイナにはしっくりとくる。
「この辺かしら?」
三十分ほど歩き、ミレイナは辺りを見渡した。ジェラールに視線を向けると、間違いないと頷いたのでやはりここでラドンを保護したのだ。
「ドラゴンは……、いませんね」
「だから、怪我をした後に自分で移動してきたのだろうと言っただろう」
ジェラールが呆れたようにミレイナを見下ろすと、ミレイナはフェンリル達に顔を寄せていた。



